バッハの声楽曲の演奏で現在抜きん出ているのは、フィリップ・ヘレヴェッヘ率いるコレギウム・ヴォカーレ・ヘントと、ジョン・エリオット・ガーディナー率いるモンテヴェルディ合唱団だと思っています(日本では言うまでもなく鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパン)。そのガーディナー率いるモンテヴェルディ合唱団とイングリッシュ・バロック・ソロイスツがArchivレーベルに残したバッハの宗教曲が、22枚組Boxセットになっていました。激安だったので思わず購入。
収録されているのは、クリスマス・オラトリオ、マタイ受難曲、ヨハネ受難曲、ミサ曲ロ短調、マニフィカト、カンタータ BWV 51, 61, 36, 62, 63, 64, 121, 133, 98, 139, 16, 72, 73, 111, 156, 83, 82, 125, 200, 6, 66, 43, 128, 37, 11(昇天祭オラトリオ)、172, 59, 74, 34, 94, 168, 105, 179, 199, 113, 140, 147, 106, 118, 198 となっています(だいたい教会暦ごとにまとまっています)。
ガーディナーの演奏は、いずれも颯爽としたテンポ、洗練されたとにかくキレイな合唱で、聴きやすいです。受難曲の演奏は、ピリオド楽器によるスタンダードと言ってもいいでしょう。ロ短調ミサは、合唱のフーガの出だしをソロで歌い始め、曲が盛り上がってくると合唱で歌っています。ほかの指揮者でも同じやり方をしている演奏はありますが、個人的な好みでいえば、神経質な感じがするのであまり好きではないです(合唱のうまさはまったく問題ありません)。
カンタータもバランスのとれた美しい合唱を聴かせてくれます。録音年代が広く、昔の演奏と最近のものを比べてみると、以前のものはとにかく颯爽とキレイに聴かせようとしているのに対し、最近のものはテンポや強弱の変化が少し大きくなり、より劇的な方向を目指しているようにも聞こえます。
このBoxセットだけでも主要な曲は揃うのですが、あと2曲、カンタータ BWV 4, 131 も聴いてみたかったので入手。これはERATOの音源を廉価で出しているapexレーベルのものです。BWV 4 は全曲合唱で歌っています。
ガーディナーの演奏は表面的な美しさだけで芸術的な深みがない、とかいう意見もあるかもしれませんが、そのような理由で聴かないのはもったいない。合唱の美しさを楽しむにはもってこいの演奏だと思います。Boxセットで膨大な数の曲を聴くのはちょっと、という方には、国内盤のシリーズからBWV 106, 140, 147が出ていますので、これだけでも聴いてみていただきたいものです。
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