みなづき ふたご
角川書店(角川グループパブリッシング)
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アニメの「ましろ色シンフォニー」は、みう先輩ルートで終了したわけですが、話の展開としてはどうも納得できない点が多かったように思います。
こちらの記事では「この作品は構成が悪いと感じた」と書かれていますが、この点については完全に同意します。普通に考えれば、愛理がメインのはずではなかったのか? 確かにみう先輩は尊敬できる人ですけど、このモヤモヤした感じのせいで、11話以降のイチャイチャぶりを見ても白けた気分にしかなりませんでした(笑)
アニメの話の特徴としては、恋に破れた者の心情についても濃く描いていたことが挙げられますが、これをメインテーマにしたいのなら、紗凪をメインにしなければダメです。話の序盤では愛理に重点を置いていることが明らかですが、愛理はなんだか悟った感じになっちゃってましたし……
オープニング映像やキービジュアル、キャストの登場順などからみても、愛理がメインだと考えられますし、序盤のストーリー展開からは、学園統合を巡る問題や愛理との関係がテーマになるとみるのが当然ではないでしょうか。ぬこ部の話が出てきたあたりからの展開は、どうも唐突な感がぬぐえませんでした。愛理はほぼ蚊帳の外のような感じになってしまっていましたからね…… 迷子の時に運命的な出会いをしたり、クラス委員の仕事を2人でしたり、ボロアパートで半纏を着て生活する庶民派お嬢様だとわかったり、「瀬名」「瓜生」と呼び合ったり…… 「来週さん」やいっしょにおフロ事件は一体何だったのか?(笑) この作品をみて、ストーリの構成というものについて改めて考えざるを得なくなりました。
どうも腑に落ちない展開だったときに参考にするのは、コミックス版(笑) ゲームをやってみることまでは考えていないので、みなづきふたご氏画による単行本を見てみました。小野宮結月(アニメでも最終話にちょこっと登場)をメインにした "Twinkle moon" 編は参考として、今回考えてみたいのは瀬名愛理編の「ましろ色シンフォニー」(全2巻)と、乾紗凪編の "Wind of silk" です。
●愛理編とアニメの比較
アンジェに関するエピソードがないことを除けば、1巻(スーパーの特売に行っていることがバレる直前まで)の展開は全く同じと言っていいでしょう(このあたりまでは共通ルートということのようです)。では、ルートを決定するポイントとなるのはいったい何なのでしょうか? 2巻でもアニメと同じく「来週さん」や、いっしょにおフロ事件はあります。どうも、その後愛理の母・学園長に2人の仲を茶化されたり、煮え切らない愛理を桜乃が突いたりするところがポイントのようです。愛はおフロ事件を大っぴらに公表したりしてしまいますし(笑) そして一番の違いは、ぬこ部の「ぬ」の字も出てこないこと。アニメでは、ぬこ部のためというより(おそらく)新吾のために愛理はぬこ部へ入ったのでしょうが、裏目に出たようです(笑) このルートでは、新吾と愛理は想定以上の恥ずかしいバカップルに…… やはりこの話をみて思うのです、
「どうしてこうならなかった?」
●紗凪編とアニメの比較
"Wind of silk" は、愛理編1巻(共通ルート)を踏まえたあたりから話が始まります(新吾と愛理は「瀬名さん」「瓜生くん」と呼び合っている)。アニメを見ていたときは、紗凪の「男嫌いだが、初めはネコを被っている。そのうち化けの皮が剥がれて『クズムシ』だのと言いはじめるが、やがて新吾に惹かれる」というようなキャラクターがわかりにくく、どうも感情移入しにくい気がしたのですが、紗凪サイドから描いている話を読むと、アニメよりはわかりやすいです。話の展開は、驚いたことに終盤までアニメと同じ。紗凪は意地を張ったままで、自分から新吾に対して何らかのアクションを起こそうとはせず、そのままだとアニメ同様自滅してしまうでしょう(敬愛するみう先輩との板挟みという状況なので)。ポイントとなるのは、お助けキャラ・愛理が手を回すかどうかです(笑) 残念ながら、コミックス版では紗凪のイチャイチャぶりは見られませんが…… どうも紗凪ルートとみう先輩ルートの差はほんのちょっとした点になるようです。
こうしてみう先輩以外のルートを見てみると、本当にちょっとした点が運命の分かれ道になっているようです。まあ、実際の人生もそんなものかもしれませんけど…… 印象的だったのは、紗凪編で愛理が以下のように言っていることです。
「ちょっとした出来事が変わっててタイミングがそういうことになってたら…… あたしはあいつのこと好きになってたかもしれない」
結局はこの言葉に集約されるのかもしれません。
原作ゲームをやっていないのでストーリーに関する考察は不十分かもしれません。とはいえ、原作における「共通ルート」がどのあたりまでなのかがよくわかりませんが、愛理メインで進むことを意識した内容になっているのなら、そのまま愛理ルートでいくのが自然でしょうし、別ルートや「失恋」を描きたいのなら序盤からの内容を再考する必要があるでしょう。やはりアニメのストーリーは構成が悪いように感じました。
恋愛SLGを原作としてアニメを制作する場合、分岐するシナリオをどうまとめて良い作品に仕上げるか、シリーズ構成の手腕が問われています。皆を納得させる展開にするというのが非常に難しいのはよくわかるのですが、どうも構成に失敗している作品が多い気がしてなりません。そんなときわたしはコミックス版などをみて溜飲を下げるのですが…… アニメ化する以上はより良い作品にしてもらいたいというのが、視聴者としての願いです。
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