個人的に今年聴いた曲でいちばんヒットしたのが、この "Dixit Dominus" で、いろいろな録音を聴いてみました。今までの感想は以下のとおり。
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スコラーズ・バロック・アンサンブルの演奏
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プレストン指揮の演奏
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ヘンゲルブロック指揮の演奏
ほかにいくつかCDを入手しました。
まず、パロット指揮の演奏 (Virgin)。"Dixit Dominus" のほかにも、"Nisi Dominus" "Laudate pueri" "Salve regina" など、ヘンデルの詩篇曲などがセットになっている2枚組です。Amazonでは出てこないようですが…… 演奏のほうは、全体的に良いと思いますが、 "Dixit Dominus" の1曲目で定旋律を歌うソプラノの歌詞の割付が楽譜と少し違っています。ソロ曲も聴きなれないメロディーで歌っているので、最初に聴くのはおすすめしません。"Gloria Patri" 冒頭は独唱。
次に、ミンコフスキ指揮の演奏(Archiv)。この指揮者らしく、速めのテンポで引き締まった印象。でも何だか最後の "Gloria Patri" はゆっくりめなので、画竜点睛を欠く感じがします。
3つ目は、うまい合唱団のザ・シックスティーンの演奏 (CORO)。さすがに合唱が専門なだけあって、全体的にバランスが取れており、レベルの高い演奏になっています。ただ、もうひとつ迫力や強い説得力がほしいところ。それに、肝心な1曲目出だし初っ端でアルトが音を外しているのが残念。"Gloria Patri" の冒頭は、合唱で歌っています。
4つ目は、ソプラノのナタリー・デセーやカウンター・テナーのジャルスキーらがソリストをつとめる演奏 (Virgin)。この面子からして、独唱曲に力を入れているのは明らかで、カップリングのバッハ作曲「マニフィカト」ともども、非常に良い出来です。ソリストが非常に良い分、合唱が多少負けてしまっているのが残念。でもレベルは比較的高いと思います。"Gloria Patri" の冒頭は独唱。
これらを踏まえた上で、おすすめの演奏について。
一番最初に聴く演奏としては、
シックスティーン盤をおすすめします。この曲は合唱がメインですので、合唱の出来が良いこの演奏を聴くのがベスト。
ソリストの歌唱では、
デセーらが歌う盤が抜きん出ています。独唱曲を十分味わいたいならこの盤。
そしてこの曲の魅力である迫力やノリを味わいたいなら、超ノリノリな演奏の
ヘンゲルブロック盤です。ただ、強調やデフォルメがあってアクが強い演奏とも言えるので、最初に聴くのはおすすめしません。
個人的な好みでは、テンポの設定が一番良いと思うのはスコラーズ盤です(一番最初に聴いたからかもしれませんが)。ただこれは1パート1人の演奏なので、この曲の迫力を味わうには合唱で歌っている演奏を聴くべきです。
ということで、「これぞ決定盤」というのはないですが、以上のようにしてみました。
今年この曲のいろいろな演奏を聴いて、改めて「同じ曲でも演奏によって全然違うんだなあ」と思った
次第です。クラシックを聴き始めて長いこと経ちますが、今年になって初めて「良い演奏を聴きたい」と思うようになりました。これまでは、演奏はともかくいろんな曲を聴きたい、と思っていたんですが…… そういう意味では転機でした。これからもいろいろといわゆる「名盤」を聴いてみたいところです。
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