EMIから興味深い商品が発売されました。なんと、
・チャイコフスキー作曲の傑作バレエ音楽「くるみ割り人形」全曲
・巨匠サイモン・ラトル指揮、名門ベルリン・フィルによる最新録音
・人気・実力を兼ね備えた声優、石田彰・釘宮理恵の両名によるCDドラマ
これらがセットで聴けるというのです。なんと贅沢な…… これは買うしかない! というわけで、入手してみました。
クリスマスの定番クラシック音楽は、ヘンデルのオラトリオ「メサイア」、バッハの「クリスマス・オラトリオ」はじめたくさんありますが、この「くるみ割り人形」は親しみやすさ、メロディーの有名さでとりわけ人気があると言えます。ただ、うちのクラシックCDライブラリは偏りがあって、今のところチャイコフスキーのレパートリーが非常に少なく、「白鳥の湖」「ヴァイオリン協奏曲」の2つしかありませんでした。やはり交響曲とバレエ音楽くらいは揃えておかないと…… ちょうど持っていない曲だったのでいい機会でした。
曲自体は以前NHKか何かでバレエをやっていたときに全曲聴いたことがあります。今回改めて聴いてみると、「花のワルツ」はじめ数々のなじみのあるメロディーが聴こえてきて、とても親しみやすいです。ほかの録音を持っていないので聴き比べはできないですが、ラトルによる演奏は、オケの音色もみずみずしく、クリスマスのワクワクする雰囲気を大いに掻き立ててくれる名演だと思います。チャイコフスキーの仕事もさすが。
ドラマのパートでは、空想好きの少女・クララを中心とする物語が展開。冒頭で釘宮さんのモノローグが聴こえてくると、どきっとします。石田さん・釘宮さんは劇中で何役もこなしておられますが、これはさすがです。ドラマパートは非常に丁寧で、良いつくりだったと思います。鈴木康士さんによる絵本のビジュアルも、味があって良いです。
「劇音楽」というジャンルがあって、メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」やグリーグの「ペール・ギュント」などがナレーション入りで上演されるのは見たことがあり、CDも出ています。「くるみ割り人形」はバレエ音楽なので、本来は視覚を伴って上演されるわけですが、通常発売されているCDで曲を聴くだけだと、筋書きと音楽から情景を想像してみるしかありません。このようにドラマ・パートと組み合わせるのは意欲的な試みと言えるかも。
適当な録音を引っ張り出してきてドラマと組み合わせるのではなく、ラトル&ベルリン・フィルの最新録音を持ってくるところから、この企画の力の入り具合がうかがえます。名曲の名演奏を、名演技とともに聴くことができるのは、幸福な体験といえるでしょう。このような企画はもっとあっていいのでは。今後に期待です。
あと、家でサイモン・ラトルのCDを探すと、ブリテンの「戦争レクイエム」がラトル指揮でした。いささかマニアックですが…… ほかにもいろいろ聴いてみたいところ。ベートーヴェンの交響曲の録音が名演だと聞いたので、「第9」なんかも聴いてみたいですね。
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