評価:
バレンボイム(ダニエル),ベートーヴェン,ウェスト=イースタン・ディヴァン・オーケストラ
ユニバーサル ミュージック クラシック
ダニエル・バレンボイムによるベートーヴェンの交響曲全集としては、シュターツカペレ・ベルリンの演奏によるもの(1999年録音)がありましたが、わたしは持っていません。このたび新録音が出て、しかもユニバーサルミュージックのCD誕生30周年の一環として、かなりお買い得になっているので、この機に入手してみました。
国内盤はSHM-CD仕様ですが、5枚組で2,980円(期間限定価格)と、輸入盤よりお安くなっています。演奏内容はどうかというと…… ウェスト=イースタン・ディヴァン・オーケストラによる演奏。第9番の合唱団とソリストは以下の通りです。
・ソプラノ:アンナ・サムイル
・メゾ・ソプラノ:ワルトラウト・マイヤー
・テノール:ペーター・ザイフェルト
・バス:ヴォルフガング・コッホ
・合唱:ケルン大聖堂ヴォーカル・アンサンブル
聴き慣れない楽団名だったのですが、これはバレンボイムが中東の若い音楽家を集めて一緒に音楽をやろうということで結成したものだとか。バレンボイムが中東和平のためにいろいろやっておられることは知っていましたが、このような楽団も設けていたとは。
ベートーヴェンの演奏については、ドラマティック・ロマンティックな「巨匠風」スタイルと、楽譜重視のピリオド・アプローチがあり、最近ではティーレマンあたりが「巨匠風」を貫いているようですが、全体的にはピリオド・アプローチが主流だと思います。モダン楽器の演奏もそちらから影響を受けていますし。しかしバレンボイムはフルトヴェングラーの影響を受けていると言っているくらいなので、スタイルは「巨匠風」。音も重厚なものが聞こえてきます。
印象に残ったのは第1番、第2番あたりで、締まった良い演奏だと思いました。第6番「田園」は、ありがちな流麗な感じではなく、かなり力強い印象。第3番「英雄」や、第5番はちょっと物足りない感じでした(リピートを省略するのは個人的にはいただけません)。第9番は、ちょっとわざとらしくもったいぶりすぎかな〜と感じられるところがありました。ところどころのタメやアクセントが、いかにもフルトヴェングラーがやりそうな気がします(笑)
国内盤を低価格で売り出すということは、これを入門編として位置付けているのだと思いますが、確かに全集の入門編としては申し分ない演奏だと思いました。個人的にはピリオド・アプローチの方が好きなんですけど…… これはやり方の問題なので、どちらが間違っているとかいうことではないですからね。
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